- 2026年10月27日
11月18日は世界COPD day -COPDという病気を知っていますか?
今回は、皆様に「COPD」という病気を知っていただきたいと思います。
高血圧症や糖尿病は、多くの方がご存じの病名だと思います。呼吸器疾患では、喘息や肺炎もよく知られています。一方、COPD(シー・オー・ピー・ディー)については、まだ十分に知られていません。
GOLD日本委員会が2025年12月に実施した調査では、COPDを「どんな病気かよく知っている」と答えた方は15.2%でした。「名前は聞いたことがある」という方も含めた認知度は34.6%にとどまっています。
COPDとはどんな病気?
COPDの日本語名は「慢性閉塞性肺疾患」です。主にタバコ煙などの有害物質を長期間吸い込むことで、肺や気道に障害が生じる病気です。肺気腫や慢性気管支炎という場合もあります。
長年タバコを吸っている方、以前に長く吸っていた方で、次のような症状がある場合は注意が必要です。
- 咳が長く続く
- 痰がよく出る
- 階段や坂道で息切れする
- 以前より歩くのが遅くなった、休憩が増えた
COPDはゆっくり進行するため、症状があっても年齢やタバコの影響だと思い込み、病気に気がつかないことがあります。
過去の日本の疫学調査では、40歳以上の約8.6%、約530万人がCOPDに該当すると推計されました。一方、2023年の患者調査で報告されたCOPDの総患者数は約38.2万人です。これらは調査方法や時期が異なる数字ですが、COPDが見逃されている可能性を考えるうえで重要です。
COPDの受診が遅れるのはなぜ?
COPDの認知度が低いことに加えて次のような理由があります。
① 息切れを「年齢のせい」と考える
COPDはゆっくり進行します。階段を避ける、歩く速度を落とす、外出を減らすなど、本人が無意識に活動量を調整してしまうことがあります。
② 咳や痰をタバコの影響として片づける
「タバコを吸っているから咳が出るのは当然」「朝に痰が出るのはいつものこと」と考え、病気のサインとして捉えないことがあります。
③ タバコへの後ろめたさや治療への諦め
「自分がタバコを吸っていたから仕方ない」「もう治らない病気だ」と考えたり、肺がんなどの診断を恐れたりして、症状を医師に相談しにくくなることがあります。
しかし、COPDは早期に発見し、禁煙や適切な治療を行うことが大切な病気です。タバコを吸っていたことを責める必要はありません。気になる症状があれば、ぜひ医療機関に相談してください。
COPDのセルフチェックをしてみましょう
独立行政法人環境再生保全機構のホームページでは、COPDのセルフチェックができます。
COPDはどのように診断する?
COPDが疑われる場合、問診や診察に加えて、呼吸機能検査を行います。
呼吸機能検査では、息を思い切り吸い込んだあと、できるだけ速く吐き出していただきます。その際、最初の1秒間に吐き出した空気の量(1秒量)と、最後まで吐き出したあと思いっきり吸い込んだ空気の総量(努力肺活量)の比率を調べます。
この比率を「1秒率」といいます。COPDでは、空気の通り道が狭くなるため、息を速く吐き出しにくくなります。1秒率が70%未満であることが、COPDの診断基準の一つです。ただし、診断には喫煙歴や症状、胸部レントゲン検査などを総合的に判断する必要があります。
当院では、必要に応じて胸部レントゲン検査や呼吸機能検査を実施し、当日の検査結果をもとに診断や今後の方針についてご説明しています。
COPDの治療 -早期発見と禁煙が大切です
COPDの治療では禁煙が最も重要です。そして症状や重症度に応じて、吸入薬を中心とした薬物療法を行います。気管支拡張薬で空気の通り道を広げ、息切れなどの症状を改善します。
タバコによって傷ついた肺を、完全に元どおりにすることは難しい場合があります。しかし、早い段階で診断し、禁煙や適切な治療を続けることで、症状の改善や病気の進行抑制が期待できます。
11月18日は世界COPDデーです
世界COPDデーは、COPDへの理解を広め、早期発見や適切な治療につなげることを目的として、2002年にGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)の取り組みとして始まりました。
タバコを吸っている、または以前に長く吸っていた方で、咳・痰・息切れが気になる場合は、年齢やタバコのせいだと決めつけず、一度ご相談ください。
COPDという病気を知っていただくことが、早期発見への第一歩です。
参考文献
GOLD日本委員会事務局によるCOPD認知度把握調査
Roucoux G, Scanferla E, Delorme M, Fraticelli L, Kiakouama Maleka L, Nocent-Ejnaini C, et al. Twelve barriers to COPD diagnosis in France: a comparative qualitative study. BMJ Open Respiratory Research. 2025;12:e002708.
Horie J, Murata S, Hayashi S, Murata J, Miyazaki J, Mizota K, Horikawa E. Factors that delay COPD detection in the general elderly population. Respir Care. 2011 Aug;56(8):1143-50.

