- 2025年8月28日
百日咳
夏前から千葉県、柏市では百日咳が流行しています。診断した場合、全例届け出が必要な疾患ですが、当院でも週1-3例届け出をしています。
https://www.city.kashiwa.lg.jp/hokenyobo/kansenyobo/hyakunichizeki.html
百日咳は百日咳菌による細菌感染症で、小児では息を吸うときの「ヒューヒュー」という音を伴う咳発作が特徴的です。喘息では息を吐くときに「ヒュー」と鳴るので違いがあります。成人では他の病気で生じる咳との区別は困難ですが、人生で初めて経験するような咳と表現される方もいます。小児期に接種する4種混合、5種混合ワクチンで予防可能ですが、年齢とともに効果が薄れてしまいます。飛沫感染で広がり、潜伏期間は7-10日間です。当院の患者さんをみていると、家族全員で順番に咳が出るようになったという方が多いです。
問診では咳の出る時間帯、場面を伺います。検査では胸部レントゲンや呼気一酸化窒素測定検査など実施して、長引く咳を来す他の病気の可能性も考えながら調べていきます。
百日咳は診断が難しい病気です。当院では症状が出始めて2週間以内の場合は抗原検査(鼻から細い綿棒を入れて調べる検査)、2-4週間の場合は血液検査(百日咳抗体 IgM)、4週間以上の場合も血液検査(百日咳抗体PT-IgGとFHA-IgG)で調べています。抗原検査は当日その場で結果を説明できますが、血液検査は約1週間後の説明になります。
治療薬はマクロライド系の抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)ですが、発症から時間が経っていると咳などの症状に対する効果は薄くなります。一般的な咳止めを用いたり、麦門冬湯という漢方の咳止めが有効な場合があります。また、気道過敏性が高まっている(冷気、におい、けむりなどの刺激で咳が出る)場合は、気道が喘息に近い状態になっており、吸入ステロイド薬の使用を検討します。
風邪のあと咳が治まらない、家族全員で咳をしている場合など、当院にご相談ください。