• 2026年5月19日

アレルゲン免疫療法

6月1日よりスギ花粉の舌下免疫療法を再開します。院長も今月から別のクリニックに通院して始める予定です。実体験も含めて今後お伝えできればと思います。

アレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)に継続的に接することで体(免疫)を慣らしていく治療です。その歴史は古く、最も古い論文で1911年にイネ科のアレルギーに対する皮下免疫療法の報告があります。国内では2014年にスギ花粉、2015年にダニの舌下免疫療法が保険適応となりました。

一般的なアレルギー性鼻炎の治療薬はスギ花粉やダニが粘膜と反応して生じた物質であるヒスタミン、ロイコトリエンなどを抑えるもので、どちらかと言えば対症療法に近い治療です。一方でアレルゲン免疫療法はアレルギー疾患の自然経過を改善させることが可能な治療法になります。

アレルゲン免疫療法は、アレルギー患者での新たなアレルゲン感作(ダニのアレルギーを持っている方がカビのアレルギーも持つようになること)を抑制するとの報告があります。簡単に言うとアレルギー体質が年々悪化していくことを防ぐ可能性があります。花粉症を含むアレルギー性鼻炎にアレルゲン免疫療法を行うと喘息発症リスクを減らせるとの報告があります。さらに、喘息患者さんがスギ花粉の時期に悪化するのを防ぐ働きがあります。

実際の方法ですがスギ花粉(シダキュア®)、ダニ(ミティキュア®)のエキスを含む錠剤を舌の下に入れて、その後飲み込みます。毎日続ける必要がありますが、3年間で約80%の方で症状の改善が得られると言われています。1年以内の血液検査で調べたスギ、ダニに対するアレルギー反応(IgE抗体)がクラス3以上の陽性で、鼻炎の症状がある方が対象になります。
血液検査で基準を満たしていれば院内で初回投与を行い、30分ほど副作用の有無をみます。頻度は高くありませんがアナフィラキシーのリスクのある治療法です。ぴったり1週間後に2回目の受診となり、以降は1ヶ月に1回の受診となります。

最も多く質問を頂く治療期間についてですが、アレルゲン免疫療法の手引き2025にて3-5年間と記載されています。根拠となっているのが、1998年のWHO position paperの記載のようです。イタリアで15年間経過を追った研究では、3年よりは4年治療を行った方が効果の持続があり、4年と5年では差がなかったとされています。国内の患者さんを対象にした試験で明確に最適な治療期間を示したものはありません。当院では最低3年間、できれば4年間を推奨します。

  • Bousquet J, Lockey R, Malling H. Allergen immunotherapy: Therapeutic vaccines for allergic diseases. A WHO position paper. Journal of Allergy and Clinical Immunology, 1998, 102, 558-562.
  • アレルゲン免疫療法の手引き2025
  • Marogna M, Spadolini I, Massolo A, Canonica GW, Passalacqua G. Long-lasting effects of sublingual immunotherapy according to its duration: a 15-year prospective study. Journal of Allergy and Clinical Immunology, 2010, 126, 969-975.

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