- 2026年3月11日
ホー吸入

「喘息で吸入薬を始めたが、咳や痰の症状がなかなか良くならない。」
そのような場合、喘息診療実践ガイドラインでは、治療を強化する前に
「吸入薬がきちんと吸えているかを確認すること」が重要とされています。
喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療の基本となるのが吸入薬です。吸入薬にはステロイドや気管支拡張薬が含まれており、口から吸い込むことで喉、気管を通り、気管支へと薬剤を届けます。
喘息やCOPDでは、肺の奥にある気管支で炎症が起こったり、気道が狭くなったりします。そのため、吸い込んだ薬剤が肺の奥まで届かないと十分な効果が得られません。
吸入薬は大きく分けて2種類あります。
一つは、粉の薬剤を自分の吸う力で吸い上げるドライパウダー式。
もう一つは、ガス状の薬剤を噴霧して吸い込む加圧噴霧式です。
ドライパウダー式は自分のタイミングで吸入できるという利点がありますが、吸う力が弱い方には向いていない場合があります。
一方、加圧噴霧式は吸う力が弱くても使用できますが、噴霧と吸入のタイミングを合わせるのに少しコツが必要です。
また、粉っぽい感じが苦手な方や、ガスのにおいが気になる方など、使用感の好みも人それぞれあります。
吸入薬の副作用として、口の中の荒れや声がれが起こることがあります。これは本来肺の奥に届けたい薬剤が、口の中に多く残ってしまう場合に起こります。
そこで大切になるのが、今回のテーマである「ホー吸入」です。
吸入の際に舌を「ホー」と発音する形にして薬剤を吸い込む方法で、口の中に薬剤が残りにくくなり、肺の奥まで薬剤が届きやすくなります。
日本喘息学会では、吸入器ごとの吸入方法を動画で紹介しています。
ご自身が使用している吸入器の動画をぜひ一度ご覧ください。
口腔内の荒れや声がれは、吸入器の種類にもよりますが5~10%程度でみられる副作用です。ドライパウダー式よりも、加圧噴霧式の方が起こりにくいとされています。
また、以下のような工夫で副作用を軽減できることがあります。
- 吸入前にうがいをして口の中を潤しておく
- 吸入後にぐちゅぐちゅ、ガラガラのうがいをする
- 吸入のタイミングを食事前にする
喘息やCOPDの患者さんにとって、吸入薬は長く付き合っていく相棒のような存在です。
年齢や呼吸の状態などを考慮して最適と思われる吸入薬を選んで処方しますが、最初の処方が必ずしもベストとは限りません。含まれる薬剤の種類や量、吸入器の組み合わせには多くの選択肢があります。
当院では患者さんと相談しながら、その方に合った吸入薬を一緒に見つけていくことが大切だと考えています。